【11月8日 AFP】10代の間で特に人気のある電子たばこや、その呼出煙(口から吐いた煙)に含まれる化学物質が心臓血管系に害を及ぼす恐れがあると警鐘を鳴らす論文が、7日付の欧州心臓病学会誌「Cardiovascular Research」に掲載された。電子たばこをめぐっては、これに関連するとみられる健康被害や死亡例が報告されており、懸念を指摘する声が高まっている。

 米オハイオ州立大学(Ohio State University)のローレン・ウォルド(Loren Wold)氏は論文の中で、「電子たばこには無害な水蒸気の他に、ニコチンや微粒子状物質、金属物質、香味料が含まれている」と指摘。「大気汚染に関する研究によって、(空気中の)微粒子は循環血液に入り込んで直接、心臓に影響を及ぼすことが証明されている。電子たばこに関するデータも同じ方向を示している」と述べている。従来のたばこにも含まれるニコチンは、血圧や心拍数を上昇させることが知られている。

 このほかにも電子たばこには、「ヒトに対して発がん性がある」と分類され、ラットを用いた研究で心臓障害を引き起こしたホルムアルデヒドが含まれている。

 さらに、ミントやキャンディー、フルーツなどの香味料については、健康被害をもたらす可能性の有無がほとんど分かっていない。

 オハイオ州立大チームの論文は、「一般的に口から吸いこんでも無害と考えられがちな電子たばこだが、電子たばこを吸引することによる体形的な影響はほとんど知られていない」と指摘している。

 ウォルド氏によれば、これまでの電子たばこに関する研究は、ほとんどが常習によるリスクよりも急性リスクに集中しているという。

 さらに受動吸引や、壁やカーテン、衣服に付着した粒子の健康への影響も、ほとんど不明なままだ。

 米疾病対策センター(CDC)によると、10月29日までに米国の24州で、電子たばこの影響とみられる死亡例が37件報告されている。さらに肺障害例は全米で1900件近くに上る。

 世界保健機関(WHO)によれば、世界における電子たばこの使用者は2011年の700万人から、2018年には4100万人に急増している。電子たばこはデザイン性が高いこともあり、特に若い世代にとって魅力的なものとなっているという。(c)AFP/Elizabeth DONOVAN