【11月13日 CNS】中国・深セン(Shenzhen)税関は、「海外買付代行」名義のぜいたく品大型不正輸入事件を摘発し、ぜいたく品の犯罪組織を粉砕したことを先月明らかにした。摘発現場ではエルメス(Hermes)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)などの高級ブランドの服飾、カバン、腕時計など総額3億2000万元(約50億円)の物品を押収、脱税容疑額は6000万元(約9億3000万円)を超える。

【関連記事】国際郵便物の中から生きているカブトムシ 発送元は日本、成都税関で発見

 深セン税関は2018年10月、西九竜駅(West Kowloon)の出入国検査所で、ぜいたく品を不正に輸入しようとした「運び屋」2人を逮捕した。密輸取り締まり部門で分析した結果、2人の容疑者は同じプロ集団に属し、大きな組織的不正輸入が存在する疑いが強まった。そこで情報分析班を結成し、分析を進めたところ、大規模な違法輸入組織の存在が明らかになった。

 今年9月11日午前、上海と深セン税関の密輸取締官は同時に行動を起こし、同犯罪組織を一挙に粉砕、密輸グループ3つと、容疑者9人を逮捕した。

 取締官によると、劉容疑者と沈容疑者夫婦をトップとする上海の会社が「海外買付代行」の名義で客を募り、7つのSNSアカウントで中国国内の顧客から注文を受ける。受注後、イタリアや米国などで服飾、バッグなどのブランド品を購入し、同社の香港倉庫に輸送。さらに国際宅配便で品名を偽り、低価格で申告するなどの方法で中国国内に郵送するか、あるいは「運び屋」組織により深センなどの出入国検査所で不正に持込んでから国内の宅配便で発送するという手口だ。

 税関によると、同犯罪集団の帳簿には毎月の利益が300万元(約4640万円)を超えたことが記されていた。特に劉・沈夫婦はその取引から巨利を得ており、上海市の中心地区で高級住宅を購入していたほか、ロールスロイス(Rolls-Royce)など複数の高級自動車を保有していたという。

 専門家の話によると、海外買い付け代行自体は違法ではなく、かならずしも密輸犯罪にはならず、違法かどうかは輸入時に正しく申告納税したかどうかによる。現在、一般の入国旅客に対し、個人で使用する合理的範囲の荷物については相応する免税額(5000元=約7万7000円)が定められており、この限度を超えた部分については、自ら申告納税する必要がある。「買い付け代行」の商品は商業的な営利目的の物品であり、たとえ少量であっても免税とはならず、申告納税の義務があるとしている。(c)CNS-法制日報/JCM/AFPBB News