■「生き延びるために闘うことを知っている」

 アカシンガのプログラムは2017年、オーストラリア軍の元狙撃兵で、イラクで民間警備会社に勤務した経験があるダミアン・マンダー(Damien Mander)氏(39)が設立したNPO「国際密猟撲滅基金(International Anti-Poaching Foundation)」の活動の一環として始まった。

「アフリカ最貧国の一つで、最も厳しい地域の社会的に排除された女性に機会を提供したかった」とマンダー氏は話す。

「彼女たちは皆、深刻な性暴力、家庭内暴力(DV)のサバイバー、エイズ(AIDS)孤児やシングルマザー、夫に捨てられた妻だったりする」「立派な履歴書は必要ない。私たちはタフな女性を求めている。生き延びるために闘うことを知っている女性、それこそ私たちが求めている女性だ」

■武装化する密猟者

 アカシンガがこの地域でパトロールを始める以前は、16年間に殺されたゾウの数は約8000頭に上った。国際密猟撲滅基金によると、2年前の活動開始以来、ゾウの密猟は80%減少したという。

 アカシンガはこれまでに115件の密猟を摘発しているが、一度も発砲したことはない。しかし、この仕事には危険が伴う。

 マンダー氏は「武装する密猟者が増えている。彼らはゾウだけではなく、ゾウを守っているレンジャー隊も平気で殺す」と話す。同氏は2025年までに、アカシンガを1000人まで増やし、野生動物保護区20か所まで活動範囲を広げたいと語った。(c)AFP/Maryke VERMAAK