【11月7日 AFP】英国では6日、来月12日投開票の総選挙へ向け、選挙戦が本格始動した。与党・保守党を率いるボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、野党・労働党の牙城(がじょう)切り崩しを狙って英第2の都市バーミンガム(Birmingham)で第一声を上げ、1月中に欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット、Brexit)を完了するとの強い意志を改めて表明した。

 ジョンソン首相はこの日、まずバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)でエリザベス女王(Queen Elizabeth II、93)に謁見(えっけん)し、議会解散の裁可を求めた。これにより、2016年の国民投票でEU離脱派が勝利して以来3回目となる総選挙へ向け、選挙戦が正式に開始された。

「ゲット・ブレグジット・ダン(Get Brexit Done、ブレグジットを完遂する)」を選挙スローガンに掲げたジョンソン首相には、離脱派が集中するイングランド北部と中部で労働党から議席を奪おうとしているとの報道がある。

 EUと新たな離脱協定を再交渉した上で再び国民投票を実施するという労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首の政策案に、従来の労働党支持層が懐疑的な見方を示すとジョンソン首相は期待しているのだ。

 だが、選挙戦初日はアラン・ケアンズ(Alun Cairns)ウェールズ担当相が、あるレイプ裁判への元側近の関与を知りながら隠していたとの疑惑を受け、辞任するという波乱の幕開けとなった。また、同じく保守党のジェイコブ・リースモグ(Jacob Rees-Mogg)下院院内総務は、ロンドンで2017年に起きた高層住宅「グレンフェル・タワー(Grenfell Tower)」の大火災犠牲者について「常識」に従って避難していれば生き残れたはずだと失言し、5日に「陳謝」している。

 一方の労働党も、中道派とコービン党首支持派の内部分裂が長くすぶる中、強力なEU残留派として知られるトム・ワトソン(Tom Watson)副党首が不出馬を宣言し、耳目を集めている。

 EUの機構に深い疑念を抱き、労働党の大半の幹部より離脱派に共感を示しているコービン氏は、離脱派の地盤とされるイングランド北西部で選挙戦を開始。ジョンソン首相にあてつけて、自分は「全く違う首相」になると述べ、「私は個人攻撃はしない」などと語った。

 保守党と労働党にとっては、反EU派のポピュリスト、ナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏率いるブレグジット党(Brexit Party)の動向も気がかりの種だ。今年5月の欧州議会選で勝利したブレグジット党は、最近の世論調査で減少している支持率の巻き返しを図っている。(c)AFP/Martine PAUWELS