2019.11.08

LIFESTYLE

たった3mの幅で暮らしてわかったスポーツカーのような家の面白さ! 施主の希望に想像を超えた独創性で応えた建築家のアイディアとは

めったに使わない客間はいらない。2座のスポーツカーを所有するHさん。家もまるでスポーツカーみたい。雑誌『エンジン』の人気企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、使わない余分なスペースを持たないリゾート・ハウスのような家。デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

高低差10mの土地に家を建てる

広島県の福山駅から、山側に向かって約10キロ。急な丘の中腹にHさん(41歳)たちの家は建っている。敷地は200坪を超えるが、平坦な部分は50坪ほど。しかも高低差が10mもあるうえ、100坪は竹林の斜面という、家を建てるには少々難易度の高い土地だ。

「建築事務所のUIDを主宰する、前田圭介さんと一緒に土地を探しました。サラリーマンなので、限られた予算での家作りです。そのため山奥の、『ポツンと一軒家』に出てきそうな土地を提案されたことも」

 1階部分に、斜めに空いたトンネルがガレージとなっている。トンネル内の杉板は日に焼けておらず、明るい色のまま。平日は普段の脚のアコード・ユーロRを前に停めているが、金曜日に職場から戻ると入れ替え、S2000で週末の早朝に走りに出かける。その際、大きなエンジン音が近所の迷惑にならないよう、坂の途中に家が建っているのを利用し、下り坂をアイドリング状態のままニュートラル・ギアで国道近くまで下りていく配慮も。

しかしこの土地は、少し山側に行けば、走りを楽しめるワインディング・ロードに通じている。「週末は4時半ごろに起きて、ホンダS2000(2000年製)で走りに出かけます。3時間ぐらい走って、帰りに道の駅から妻に電話をかけ、野菜など必要なものを買ってくるのがいつものコースです」

5年前にやってきたS2000は、結婚10周年を記念してのもの。Hさんは、奥様の理解に感謝している。スポーツカー所有を、独特な考え方で応援してくれているのだ。「『2名しか乗れないクルマを持つとは贅沢ですね』と周囲から言われますが、ミニバンと比べて使わない座席は遥かに少ないので」

そんなHさんが普段の通勤の脚に使っているのは、ホンダ・アコード・ユーロR(2002年製)。ヨーロッパ仕様の足回りと、馬力のあるエンジンを組み合わせたMT仕様のクルマで、かつてサーキットに持ち込んだことも。就職した年に新車で手に入れ、17年も所有している。だが、2台のクルマの外観は、もうすぐ20年になろうとしているとは思えないほど美しい。

Hさんは本当に大切にしていて、季節がよくなると奥様が普段使っている1台も含めて、毎週3台を6時間ほどかけて洗車しているのだ。丁寧に扱われてピカピカ輝く愛車と、築7年で、良い具合にエイジングした家の外壁は、素敵なコントラストとなっている。

築7年たって、外壁の杉板が良い具合にエイジングしたH邸。建物の構造は、細長い箱状の構造が十字に交差したもの(下写真の左手が地階)。

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