【11月7日 AFP】全身がうろこで覆われているセンザンコウは、世界で最も密売されている哺乳類の一つとなっている。動物保護団体「ワイルドエイド(WildAid)」は6日、今でもセンザンコウの個体数が適切で健全な数に保たれている唯一の地域となっているアフリカ南部の国々に対し、センザンコウ保護強化を訴えた。

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 センザンコウは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、ワシントン条約)で2016年から保護されている。だが、それ以降に犯罪組織がセンザンコウ取引に進出してきていることが、欧州連合(EU)が資金提供する調査で明らかになった。

 中国やベトナムでは肉が珍味とされ、うろこや骨、血液は伝統薬に用いられており、センザンコウは不法取引の脅威にさらされている。

 ワイルドエイドによると、アフリカやアジアで殺されている野生のセンザンコウは毎年約10万匹に達している。また、うろこの需要は過去10年で急増した。押収量は2011年の21キロから、今年は6万8000キロにまで増加していると、ワイルドエイドは指摘する。

 今回の調査を担当した研究者のリチャード・シェリン(Richard Chelin)氏は6日、「手遅れになる前に、センザンコウの不法取引を理解し、阻止することが極めて重要だ」と述べた。

 野生動物の密猟対策については、主にゾウやサイなど象徴的な動物に重点が置かれており、センザンコウなどそれほど知られていない動物が犠牲になっているという。シェリン氏は「危機の真っただ中に事後的な対応策を講じるよりも、早急に介入した方がいいことは、サイの例で示されている」と指摘する。

 例えば南アフリカでは、ゾウやサイの密猟には10万ランド(約70万円)の罰金と10年の禁錮刑が科される可能性がある。だが、センザンコウの密猟については、1500ランド(約1万円)の罰金の可能性となっている。(c)AFP