【11月9日 Xinhua News】中国山西省(Shanxi)の雲岡石窟研究院は5日、3Dプリント技術による同石窟第12窟複製制作プロジェクトが大詰めを迎え、広東省(Guangdong)深圳市(Shenzhen)で彩色と組み立てが完了したと発表した。12月末には浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の浙江大学(Zhejiang University)芸術・考古博物館で展示され、世界巡回への第一歩を踏み出す。

 山西省大同市(Datong)にある雲岡石窟の第12窟は5世紀に建設された。前殿から後室まで奥行き14メートル、幅11メートル、高さは9メートルある。石窟内部は立体彫刻形式で、古代の盛大な音楽の演奏場面が刻まれていることから「音楽窟」とも呼ばれる。

 山西省の重点研究開発計画の一つである同プロジェクトは、2017年3月に正式に立ち上げられスタートした。雲岡石窟研究院と浙江大学文化遺産研究院が協力して2年余りかけ、データ収集から構造設計、ブロックごとの造形、彩色など多くの技術的難関をクリアしてきた。

 雲岡石窟研究院デジタル化室の寧波(Ning Bo)主任は、レーザースキャンと高解像度画像撮影で文化財データを記録したが、石窟の巨大さと貴重さから、全ての過程で大変な労力を要したと振り返る。石窟の高さは9メートルにもなるが、データ収集時には0.03ミリの精度が要求されたという。

 複製した3Dプリント石窟の移動展示を可能にするため、軽量タイプの素材が使われている。100以上のブロックに分割されているため、複数のコンテナに分けて輸送できる。寧氏は、複製は原寸大で石窟全体の体積は2千立方メートルを超えるが、重さは数百トンから5トンになったと語った。

 石窟の3Dプリントによる造形が終わった後の今年3月、雲岡石窟研究院は複製窟の彩色のため美術作業チームを深圳市に派遣し、8カ月にわたる努力の末、920平方メートルに及ぶ彩色作業が終了した。複製窟は2平方メートルのブロック110個を組み立ててできており、前室と後室に分かれている。どちらか単体のみの展示も可能だという。(c)Xinhua News/AFPBB News