【11月8日 Xinhua News】中国安徽省(Anhui)黄山市(Huangshan)黟県(Yi)に位置する村落、宏村鎮(Songcun)は、古い建築物が多いことで知られる。同鎮内の胡開文(こかいぶん)墨工房は約200年の歴史を持つ古建築で、保存しながら民宿として開発され、新たな命を吹き込まれた。評判を聞きつけた観光客が全国各地から訪れている。

 かつて徽州商人が集まった黟県は、安徽省南部と江西省(Jiangxi)北部を中心とする徽州文化の発祥地の一つとして「中国明清古民居博物館」と呼ばれている。中でも西逓村(Xidi)と宏村(Hong)は、伝統的な景観が良好に保存されていることから、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。県内には古民家と新たなコンセプトの民宿「新民宿」を融合させた事例が数多くある。

 黟県文化観光体育局の程丹(Cheng Dan)局長によると、中国歴史文化名村に指定された同県内の西逓村、宏村、関麓村(Guanlu)、南屏村(Nanping)、屏山村(Pingshan)、盧村(Lu)の6村と中国伝統村落の44村に3900棟以上の古民家が立っており、新民宿の発展基盤となっている。県内で今年6月までに登記された宿泊業者1176件のうち745件は民宿だった。

 明代の古建築5棟をリノベーションした同県碧陽鎮石亭村の「拾庭画駅郷村酒店」のように、個性的な民宿もある。

 新民宿の台頭に伴い、地元の経済や就業にも成長の余地が生まれた。同県の民宿は3700の就労ポストを直接提供し、間接的に1万8000人の雇用を生み出した。また、受け入れ宿泊客は延べ400万人となり、観光業の売上高は約20億元(1元=約15円)に達した。

 同県は今年9月、第1次中国国家全域観光(観光業を中心とした地域の協調的発展)モデル地区の一つに認定された。程氏は、同県が引き続き新民宿を中心とした観光発展の道を模索していくと述べ、将来的には国際的な民宿が集まり、地元の生活を深く体験でき、徽州文化の伝承や革新を進める地区になるとの考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News