【11月6日 AFP】麻薬取引の温床として知られるメキシコ北部で4日、末日聖徒イエス・キリスト教会(Church of Jesus Christ of Latter-day Saints、通称モルモン教)信徒の米国籍の女性3人と子ども6人が殺害された。これを受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は5日、メキシコが麻薬カルテルに対する「戦争を実行」するため同国への支援を約束した。

 犠牲となったのは、19世紀末にメキシコに移住した同信徒の大一族であるレバロン(LeBaron)一家で、米国との国境に接するソノラ(Sonora)州とチワワ(Chihuahua)州の無法の境界地域を車で移動していたところ、銃による待ち伏せ攻撃を受けた。

 メキシコ当局によると、襲撃で子ども6人が負傷し、女児1人が行方不明となっている。犠牲者の親族がソーシャルメディアに投稿した画像には、黒焦げになった一家の車3台にハチの巣状の銃弾の跡が捉えられている。

 トランプ氏はツイッター(Twitter)への投稿で、「メキシコは今、米国の支援を受けて麻薬カルテルに戦争を実行し、(麻薬カルテルを)地上から一掃する時を迎えた。われわれはただ、素晴らしい新大統領からの電話を待っている!」と表明した。

 メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領は、トランプ氏と今後、電話会談を行い「必要な協力をすべて」受け入れる意向を表明した。しかし左派のポピュリストのロペスオブラドール氏は、メキシコの「麻薬戦争」の終結をすでに宣言しており、新たな戦争を始めるつもりはないとも明言した。

 アルフォンソ・ドゥラソ・モンタニョ(Alfonso Durazo Montano)治安・市民防災相によると、犠牲となったレバロン一家は誤って標的とされたか、麻薬カルテル間の縄張り争いに巻き込まれた可能性がある。

 レバロン一家が攻撃されたのはこれが初めてではない。メキシコで犯罪撲滅を目指す団体「SOSチワワ(SOS Chihuahua)を設立したベンジャミン・レバロン(Benjamin LeBaron)氏は、2009年に暗殺された。同氏は当時、16歳のきょうだいの誘拐を受けて、抗議運動を主導していた。

 映像は襲撃現場を訪れた親族ら、5日撮影。(c)AFP/Joshua Howat Berger