【11月6日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がウクライナに不当な圧力をかけたとされる問題で、米下院が行っている弾劾調査での証言内容が5日、新たに公開された。

 この中で、トランプ氏に近いゴードン・ソンドランド(Gordon Sondland)駐欧州連合(EU)大使はこれまでの証言内容を訂正し、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領親子の汚職捜査を実施することが軍事援助再開の条件だとウクライナ政府高官に自ら直接伝えていたと認めた。今回の弾劾捜査で最も強力な証言の一つだと言える。

 ソンドランド氏は、9月1日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の側近、アンドリ・イェルマク(Andriy Yermak)氏と会った際、ウクライナ政府がバイデン氏親子とウクライナのエネルギー企業ブリスマ(Burisma)のつながりを捜査する姿勢を明確にしなければ、米国の軍事援助は再開されないだろうと伝えたと認めた。

 米国からウクライナへの約3億9100万ドル(約430億円)相当の軍事援助は、トランプ大統領が電話会談でゼレンスキー大統領に圧力をかけたとされる7月25日のわずか1週間前に凍結されていた。

 ソンドランド氏は弾劾調査で、バイデン氏親子に対する捜査要求を軍事援助の条件とすることは「不適切」だと分かっていたと認め、違法だったかどうかと問われると、「私は弁護士ではないが、多分そうだと思う」と応じた。

 ソンドランド氏は、バイデン氏親子の捜査を求めるウクライナ側への圧力は、主にトランプ氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏を通じて数か月にわたってかけられていたが、自分がイェルマク氏に話したことが一連の圧力の中でも最たるものだったと述べた。

 5日には9月末に国務省のウクライナ担当特別代表を辞任したカート・ボルカー(Kurt Volker)氏の弾劾調査での証言内容も公表された。

 ホワイトハウス(White House)はトランプ氏がウクライナに圧力をかけたという疑惑を繰り返し否定している。しかし公表されたソンドランド、ボルカー両氏の証言内容は、2016年米大統領選でトランプ氏を敗北させるためウクライナが民主党を支援していたという、まったく根拠はないが共和党の一部には人気のある説にトランプ氏がとらわれている様子を描き出した。(c)AFP