【11月6日 AFP】日本陸上競技連盟(JAAF)は5日、2020年東京五輪のマラソンと競歩の開催地が札幌へ変更されたことについて会見を開き、「アスリートファーストではない」と国際オリンピック委員会(IOC)を非難した。

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 IOCは10月、第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)で選手が暑さと湿気に苦しんだのを見て、変更を決断。ジョン・コーツ(John Coates)調整委員長が「IOCはドーハで起きたことにショックを受けた。東京でもこれと同様の気温や湿度が予想される」と話し、「選手の健康を第一に考える」のがIOCの責任だとして変更を発表した。

 この突然の発表に対して、会見に臨んだ日本陸連の麻場一徳(Kazunori Asaba)強化委員長は、あってはならない決定だと話した。

「選手からすれば、何年もエベレスト(Everest)に登るトレーニングを積んできて、9か月前にいきなり別の山へ登れと言われるようなもの」「IOCの言うアスリートファーストは本当の意味のアスリートファーストではないと思っている」「トレーニングの観点から言うなら、努力を無駄にしないことがアスリートファーストだ」

 9月の世界陸上では、多くの選手が暑さと湿気で体調を崩し、治療を受けなければならなかった。しかし河野匡(Tadasu Kawano)長距離・マラソンディレクターは納得しておらず、ドーハでも選手は全力を尽くしていたと話している。

「選手は守られるべき立場で競技をしているわけではない」「決められたルールの中で努力し、超人的な力を発揮するのが選手の使命だ」

 東京都は先週1日、自分たちにはどうしようもないことだと話し、IOCの決断を受け入れている。(c)AFP