【11月5日 AFP】反政府デモが3週目に突入した南米チリで4日、デモ隊が警察と衝突し、店での略奪行為などに及んだ。同日には中部沿岸でマグニチュード(M)6.0の地震があり、デモ隊と警察の緊張が高まる首都サンティアゴでも強い揺れが長く続いた。

 サンティアゴのイタリア広場(Plaza de Italia)には数万人が集まり、大統領府へのデモ行進を試みたが、放水砲や催涙ガスで阻止しようとした警察と衝突。デモ参加者が投げた火炎瓶が機動隊員1人の顔にあたった。

 ビニャデルマル(Vina del Mar)やバルパライソ(Valparaiso)、コンセプシオン(Concepcion)などの都市では、略奪行為や破壊行為が報告された。

 反政府デモの参加者らは、生活費の高騰や経済格差、少額の年金、高額な医療サービスに怒りをあらわにし、セバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領の辞任を求めている。

 検察当局によると、先月20日のデモ開始時からこれまでに20人が死亡したという。

 デモの影響で、ピニェラ大統領は年内に予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と国連(UN)の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の開催中止に追い込まれた。

 デモ参加者は、アウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)独裁政権(1973~90年)下で制定された現憲法の改正も要求している。世論調査会社カデム(Cadem)が3日に発表した調査結果によると、国民の87%が憲法改正に賛成しているという。

 さらに調査では、ピニェラ大統領の支持率が13%に落ち込んだことも分かった。(c)AFP