【11月5日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のウクライナ疑惑に関する弾劾調査をめぐり、4日、非公開で行われた関係者の証言の内容が初めて公表された。マリー・ヨバノビッチ(Marie Yovanovitch)前駐ウクライナ大使は証言の中で、ウクライナ大統領との電話会談でトランプ氏が自身に言及したことに脅威を感じたと語っていた。

 ヨバノビッチ氏は先月、トランプ氏に近い疑わしい人物たちが広めた「虚偽の主張」により今年5月に解任されたと証言。

 証言記録によると、トランプ氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏がウクライナ問題への関与を深め、とりわけウクライナ政府にジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領親子を捜査するよう働き掛けていたことをヨバノビッチ氏は不安に感じていたという。

 また、7月25日に行われたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領とトランプ氏との電話会談で、トランプ氏が自身について「何らかの経験をするだろう」と語ったとの記録を目にし、ヨバノビッチ氏はショックを受け、「とても不安になった」という。

 記録には「脅威を感じたか?」との捜査官の問いに、ヨバノビッチ氏が「はい」と答えたと記されている。

 トランプ氏は4日、ヨバノビッチ氏について報道陣に「全く知らない」と述べた一方、「きっと素晴らしい女性なのだろう」と語った。

 ただホワイトハウス(White House)がまとめた電話会談の概要によると、会談内でヨバノビッチ氏の名前は繰り返し言及されており、トランプ氏はヨバノビッチ氏を「悪い知らせ」と表現していた。

 弾劾調査を指揮する下院情報特別委員会のアダム・シフ(Adam Schiff)委員長(民主党)は証言について、「大統領の個人的、政治的な利益を推し進めようとした不正な裏ルートによってできた米国の外交政策の汚点、またこうした行為が政府内で引き起こした深刻な懸念」の証拠となるものだと指摘している。(c)AFP/Michael Mathes