【11月5日 AFP】極右過激主義の台頭への懸念が高まっているドイツで先月末、緑の党(Greens)の主要議員2人がネオナチ集団から殺害をほのめかす脅迫を受けていたことが明らかになった。アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)政権は4日、脅迫を強く非難した。

 脅迫文は10月27日、緑の党のジェム・オズデミル(Cem Ozdemir)議員とクラウディア・ロート(Claudia Roth)議員の元に電子メールで届いた。発信者は米国を拠点とするネオナチ団体、「核兵器師団(AWD)」の分派とみられる「ドイツ核兵器師団」となっており、同団体の殺害対象リストのトップに名前が挙がっているのがオズデミル氏で、2番目がロート氏だと書かれていた。

 トルコ系ドイツ人のオズデミル氏は先週末、警察がこの電子メールについて捜査していることを明かした。独フンケ(Funke)系列の新聞報道によると、電子メールには「おまえをいつ、どのように処刑するか、今計画を立てている。次の集会か? それともおまえの家の前で捕まえてやろうか?」と書かれていた。

 首相報道官のウルリケ・デンメア(Ulrike Demmer)氏は4日の記者会見で「ドイツ政府は、政治家に対するいかなる脅迫も暴力も明確に非難する」「わが国の自由な民主主義制度に対するこうした攻撃は容認できないし、今後容認することもない」と述べ、法をフル活用して脅迫者に立ち向かうと表明した。

 同じ会見に出席した内務省のスティーブ・アルター(Steve Alter)報道官はこのネオナチ集団について、しばらく前から治安当局の監視対象に入っていたと述べた。同氏によるとドイツ版の上部団体に当たる米国のAWDは、2015年から16年にかけて発足し、米国内で5件の殺人に関与している。ドイツ版AWDには現在数十人のメンバーがいるとみられている。(c)AFP