【11月5日 AFP】イラク首都バグダッドで4日、治安部隊が反政府デモの参加者らに実弾を発砲した。その数時間前にも、中部のイスラム教シーア派聖地カルバラ(Karbala)にあるイラン領事館外で衝突が起き、デモ参加者4人が治安部隊の発砲により死亡した。

 政府にはびこる汚職や、政治的支援の見返りに便宜を図る恩顧主義への不満を背景に、同国では道路の封鎖や不服従運動などの抗議活動が続いている。

 バグダッドを取材したAFPカメラマンによると、外務省や法務省、イラン大使館などに続く通りで、デモ隊と治安部隊が衝突。治安部隊は投石するデモ隊に対し催涙弾を発射したという。

 さらに複数の目撃者によると、国営テレビの本社周辺に集まったデモ隊に向かって治安部隊が発砲。医療関係者や治安当局筋は、バグダッドで約20人が負傷したと伝えた。

 先月24日にデモが再開して以降、バグダッドのデモ隊に対して実弾が使用されたのはこれが初めて。これ以前に機動隊は、「過剰な力」を行使しているとの非難を受けて催涙ガスの使用に切り替えていた。

 AFPの統計では、反政府デモが始まった先月1日以降の死亡者数は約270人に上っているが、政府は正確な犠牲者数を公開することをやめている。

 バグダッドから南に約100キロ離れたカルバラでは、3日夜から4日未明にかけてデモ隊が隣国イランの領事館に集まり、イランがイラク政府を支援していると抗議した。

 デモ隊は領事館の壁によじ登り、建物に向かって花火を発射。暴徒化するデモ隊に対して、実弾と催涙弾が発砲された。

 当局はその後、デモ参加者4人が撃たれて死亡したと発表した。

 亡くなったデモ参加者の父親は、「息子は他の若い男たちと一緒に抗議に行き、はじめに肩、次に頭を銃で撃たれた。20歳だった」と述べた。

 別の遺族によると、デモ参加者たちは武装していなかったという。(c)AFP