【11月5日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は4日、同国大リーグ(MLB)のワシントン・ナショナルズ(Washington Nationals)をホワイトハウス(White House)に招待し、首都ワシントンで人々の話題を独占しているのは、チームの奇跡的なワールドシリーズ制覇と弾劾だと述べた。

 ナショナルズのテーマソングとなっている子ども向けの歌「ベビー・シャーク(Baby Shark)」を米海兵隊の音楽隊が演奏した後、トランプ大統領はナショナルズの選手と、晴天に恵まれたホワイトハウスのサウスローン(South Lawn、南庭)を赤く染めたファンに対して、「米国はナッツ(ナショナルズ)の野球と恋に落ちた」と語った。

 ナショナルズの本拠地ナショナルズ・パーク(Nationals Park)で行われたヒューストン・アストロズ(Houston Astros)とのシリーズ第5戦を観戦し、その際に観客から大きなブーイングと「やつを刑務所に入れろ!」というチャントを浴びせられたトランプ大統領は、「人々は皆、ナショナルズの話ばかりしている」「それと弾劾についてだ」「私はナッツの野球に関する話の方が好きだ」と話した。

 また、数人の選手を壇上に呼んで簡単なあいさつをさせたトランプ大統領は、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」と書かれた赤い帽子をかぶってスピーチしたカート・スズキ(Kurt Suzuki)をハグし、「こんなことが起きるなんて、思ってもいなかった」と述べた。

 米国のスポーツでタイトルを獲得したチームはホワイトハウスを表敬訪問することになっているが、トランプ大統領が政権を取って以降、その恒例行事は物議を醸している。

 最近ではプロバスケットボール(NBA)のゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)や、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のフィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia Eagles)、女子サッカーW杯フランス大会(FIFA Women's World Cup 2019)を制した米国代表など、一部のチームが訪問を拒否したり、または招待されなかったりする事態となっている。

 今回はナショナルズのほとんどの選手が出席したものの、三塁手のアンソニー・レンドン(Anthony Rendon)や救援投手のショーン・ドゥーリトル(Sean Doolittle)ら一部のスター選手は欠席。レンドンが参加しなかった理由は明らかにされなかったが、ドゥーリトルは事前にボイコットを表明していた。

 ドゥーリトルは米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に対して、「あらゆる物事や政治的な面で、自分には賛成できないことがあるけれど、それより対立をあおるような発言をしたり、陰謀論を広めたり、この国の分断を助長したりすることを問題視している」と語った。

「チームメートと一緒に行って経験を分かち合いたい気持ちはやまやまだが、とにかく参加することはできない」「無理だ」 (c)AFP