【11月25日 AFP】日本代表が、史上初のベスト8に躍進したラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)。かつて強豪国のかませ犬でしかなかった日本は、今回の快進撃を通じて世界と真剣勝負ができるチームであることを示し、今はこの成功を次につなげようとしている。

 W杯開催国の日本は、突破のオッズが50対1という下馬評を見事に覆し、プールステージ4戦全勝を達成。その途上では、欧州6か国対抗戦シックスネーションズ(Six Nations)にも参加している強豪アイルランドとスコットランドを撃破し、史上初めて決勝トーナメントに進出した。

 準々決勝では後に大会を制覇する南アフリカに3-26で完敗したものの、アジアのチームでは初、ティア2国では2007年のフィジー以来のベスト8入りという、ジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)ヘッドコーチ(HC)が率いるブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)の快挙が色あせることはない。

 日本はエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)前HCに率いられていた4年前にも、南アフリカ相手に34-32の金星を挙げるなどプールステージ3勝を記録し、ジョーンズ前HC自身がかつて「ネタ枠」と語ったチームとしては大健闘と言える成績を残したが、その盛り上がりをラグビー人気定着につなげられなかった。

 そのため日本ラグビーの関係者は、そのときの二の舞いは絶対に避け、野球がスポーツシーンの主役の日本で生まれたラグビーブームを生かさなくてはならないと決意を燃やしている。

 日本人にはミーハーなところがあると言われる。サッカー元イングランド代表のスター選手、デビッド・ベッカム(David Beckham)氏の人気がピークだった頃には、チョコレートで作った等身大のベッカム像が東京に姿を見せたし、今回のW杯でも、もともと知名度の高かったオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)が日本のファンに「セカンドチーム」として受け入れられ、広告看板やテレビCMにも多く起用された。

 しかし今回のラグビー熱は、一段上のレベルに達している。新聞の紙面には歴史をつくった日本の英雄たちの写真が躍り、ジョセフHCが「フェラーリ(Ferrari)」と称した快速ウインガーの福岡堅樹(Kenki Fukuoka)や松島幸太朗(Kotaro Matsushima)も連日見出しを飾った。

 主将としてチームを支えたリーチマイケル(Michael Leitch)も、「チームの伸びしろは怖いくらい」「あとは強くなるだけ」と話している。ニュージーランドに17-145で大敗した、1995年のW杯南アフリカ大会とは隔世の感のある言葉だ。