■強豪国のレジェンドも称賛

 2007年のW杯を制した南アフリカのレジェンド、ブライアン・ハバナ(Bryan Habana)氏も「日本ラグビーの成長は見事だ」と話している。

「この大会の彼らの快進撃は本当に飛びぬけていた。勝ったことだけでなく、勝ち方も素晴らしかった」「あのとき覚えた感情と雰囲気を全部集めて、ボトルに詰めたかったくらいだよ」

 ニュージーランドの26倍以上にあたる1億2600万の人口を誇る日本だが、ラグビーの登録選手数は10万人に満たず、ラグビーをプレーしている10代は全体の2パーセントにも届かない。

 またトップリーグでは、高額の報酬に誘われてソニー・ビル・ウィリアムズ(Sonny Bill Williams)やダン・カーター(Dan Carter)、ジョージ・グレーガン(George Gregan)といった大御所がプレーし、新シーズンからはW杯限りで代表を退いたオールブラックス前主将のキーラン・リード(Keiran Read)、オーストラリア代表のウィル・ゲニア(Will Genia)らも参戦するが、ビッグネームが続々とやって来る中で、昨季の平均観客動員はわずか約5000人だった。しかし変化の兆しも見られ、東京のラグビースクールには代表の活躍を見た子どもたちが殺到しているという。

 W杯での快進撃で、日本の世界ランキングも一時6位にまで上がり、ニュージーランドと南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチンで争う南半球4か国対抗戦、ザ・ラグビーチャンピオンシップ(The Rugby Championship)に日本を招待する話も持ち上がっている。元イングランド代表主将のローレンス・ダラーリオ(Lawrence Dallaglio)氏も、日本をザ・ラグビーチャンピオンシップ、あるいはシックスネーションズに加えるべきだと提案する一人だ。

「あれだけ高水準で、質の高いラグビーをするチームが、パシフィック・ネーションズカップ(World Rugby Pacific Nations Cup)へ戻ってプレーするのが本当に良いことなのだろうか」「彼らのこの8年間の実績は驚異的だよ。代表チームに限った話ではなく、草の根のレベルでもね。ヒーローたちの活躍に刺激を受けた若い世代が、もっと出てきてくれればうれしい」

 その一方で、W杯の統括責任者を務めたアラン・ギルピン(Alan Gilpin)氏は、こう忠告もしている。

「日本のラグビー関係者は迅速に動く必要がある。ファンというのは待ってはくれないものだからね」「来年の東京五輪で行われるセブンズは、ラグビーを国民的な関心事として保つ絶好のチャンスだ。しかしわれわれは、日本をはじめとする関係者と素早く連携しながら、そこにあるチャンスをものにしなくてはならない」 (c)AFP/Alastair HIMMER