【11月4日 AFP】インドの首都ニューデリーは3日、濃いスモッグに覆われ、近年で最悪レベルの大気汚染に見舞われた。政治家らが危機対策を怠ったとして互いに非難し合う中、多数の航空便が目的地を変更、もしくは遅延する事態となった。

 人口2000万人以上を抱える巨大都市のニューデリーは、毎年冬になると、自動車の排ガスや工場の排煙、近隣地域の農地で刈り株を燃やす野焼きの煙による有害なスモッグに覆われる。

 インド政府の大気質気象予測研究システム(SAFAR)によると、空気中の微小粒子状物質PM2.5の濃度が、今季で最高レベルに達した。

 大気汚染レベルを独自に計測している在印米大使館によると、PM2.5の大気汚染指数は3日朝、810に達した。世界保健機関(WHO)は、健康に害を及ぼさないこの指数の値として25以下を推奨している。この指数が100を超えると極めて有害で、健康な人にとっても危険なレベルとみなされる。

 当局によると、ニューデリーの空港では視界が非常に悪くなり、37便が目的地を変更し、多数の出発便や到着便に遅延が発生した。

 市内では、学校に5日までの休校が命じられている。また、建設作業も中止された。4日からは、交通量を減らすため、ナンバープレートの末尾の数字が奇数と偶数の車を交互に走行禁止とする交通規制が行われる。

 国際非営利団体(NPO)バイタルストラテジーズ(Vital Strategies)で環境衛生担当の上級副代表を務めるダニエル・カス(Daniel Kass)氏は、一時的な交通規制などは有益ではあるが、それ以外にも農業のやり方を変えることに加え、公共交通投資の増額、二輪車の排ガス規制、発電燃料の転換、暖房燃料の石炭から天然ガスへの切り替えといった広範な措置を速やかに導入する必要があると指摘した。

 映像前半は1日、後半は3日撮影。(c)AFP/Glenda KWEK