【11月5日 Xinhua News】35万部を突破した新海誠(Makoto Shinkai)氏の中国版小説「天気の子(Weathering With You)」の翻訳家によるスペシャルセッションが3日、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)で開かれた。

 この小説は、連日雨が降り続ける東京で、少年と少女が成長する姿を描いた物語。「この作品には社会的な心情があり、読者が関心を持つ現実の問題に答えている」。中国語版の翻訳者である林青華氏は、新海氏のテーマである「愛」についての解釈が引き継がれており、若者のおとぎ話の世界が形成されていると指摘。「中国文化と日本文化には共通点があり、中国の読者は作品に込められた思いや考え方、表現スタイルをよく理解できる」と述べた。

 中国語版「天気の子」を出版した天聞角川動漫(Guangzhou Tianwen Kadokawa Animation and Comics)の関係者によれば、10月28日時点で35万部を超えており、中国の読者から好評を得ているという。

 日本文学の翻訳に30年以上従事してきた林氏は、日本文学の中国市場進出への道のりを振り返り、「中日両国の文化は深くつながっており、日本の作家には次々と新作を発表するバイタリティーがある。日本文学が中国で人気があるのはこうした理由からだ」と話した。

「君の名は。(Your Name.)」から「天気の子」に至るまで、新海氏の作品は中国市場を開拓すると同時に、中国の読者の日本理解を深めた。読者の滕紫原さんは「作品に出てくるシーンのほとんどは日本に実在する街角を描いたもので、多くの中国の読者は関連場所を訪れることができる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News