【11月2日 AFP】インドネシア・アチェ(Aceh)州で10月31日、不倫を犯した者に厳格なシャリア(イスラム法)を適用する法案づくりに協力してきた組織所属の男性が、既婚女性との不倫を摘発され、公開むち打ち刑を受けた。

 世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアの中でも、シャリアが施行されているのはスマトラ(Sumatra)島の最北端に位置する非常に保守的なアチェ州だけ。同州は、長年の独立運動に終止符を打つことを目指したインドネシア政府との合意によって一定の自治権を認められ、2005年以来シャリアを導入。不倫、飲酒、賭博、同性愛者間の性行為、婚前交渉といったさまざまな違法行為に対し、一般的な刑罰として公開むち打ち刑を適用している。

 アチェ州イスラム法学者評議会(MPU)のメンバーであるこの男性は先月、既婚女性と抱き合っているところを捕らえられ、この日、州都バンダアチェ(Banda Aceh)で覆面を着用した宗教当局者により背中を28回むち打たれた。男性は、とう製のむちが振るわれるたびに顔をゆがめ、体をこわばらせた。その後、不倫相手の女性も23回前後むち打たれた。

 男性が所属するMPUは、アチェ州政府と議会に対し、公衆の面前でのむち打ち刑などを含め、シャリアの草案づくりと施行に関して助言を行っている。男性が、同組織でどのような職務に携わっていたかについては今のところ明らかにされていない。

 アチェベサール(Aceh Besar)県のフサイニ・ワハブ(Husaini Wahab)副知事は、評議会メンバーに対するむち打ちは、シャリアをしっかりと施行していくことを強調するものだと主張。

「誰であろうと(イスラム)法に違反すれば、むち打たれる」。この男性への刑が執行された後、ワハブ氏は報道陣に対してこう述べ、男性がMPUの倫理基準に照らし合わせて解任される可能性があることを明らかにした。(c)AFP