【11月2日 AFP】中国の投資会社、復星集団(Fosun Group)は1日、今年9月に経営破綻した英旅行代理店トーマス・クック・グループ(Thomas Cook Group)のブランドを1100万ポンド(約15億円)で取得すると発表した。

 178年の歴史を持つトーマス・クックは、民間の投資家から2億5000万ドル(約270億円)の資金を得ることに失敗して経営破綻。これにより世界で2万2000人が失職したほか、非常に多くの海外旅行者が渡航先で足止めされる事態となり、英政府は約14万人を帰国させる第2次世界大戦(World War II)以降で最大規模の帰還措置を取った。

 香港で上場し、トーマス・クックの最大株主だった復星集団は、フランスに本拠を置くリゾート大手「クラブメッド(Club Med)」も所有している。復星集団は、トーマス・クックの再建に向けた交渉から、最後の土壇場になって手を引いた。

 復星集団は1日夜、トーマス・クックの商標のほか、子会社のホテルチェーン「カーサ・クック(Casa Cook)」「クックス クラブ(Cook's Club)」のブランドなどを売買契約の条件に従って取得すると発表した。

 同社傘下の復星旅遊文化集団(Fosun Tourism & Commercial Group)の銭建農(Qian Jiannong)会長は、復星集団がすでに持つ観光関連の資産に加え今回のブランド取得によって、中国人による外国旅行のしっかりとした成長の勢いを築いていくと述べた。

 経営破綻に先立ちトーマス・クックはオンライン市場で厳しい競争に巻き込まれ、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐる疑念が予約の減少につながったとしていた。(c)AFP