【11月2日 AFP】フランスの裁判所は10月30日、中国行きの旅客機でウナギの稚魚60キロを手荷物に入れて密輸しようとした中国人の男女に対し、執行猶予付き禁錮刑と罰金を言い渡した。

 中国では、ヨーロッパウナギの稚魚は1キロ当たり5000ユーロ(約60万円)前後で取引される。地元検察によると、今回の事件は「急拡大している新しい形の密売行為」の一角だと話した。

 20歳の女と44歳の男は28日、仏南西部トゥールーズ(Toulouse)を出発した後、経由地のシャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)空港で止められた。2人の4つのスーツケースからは、水とウナギの稚魚が入ったプラスチック袋が複数見つかった。袋はそれぞれ断熱材にくるまれていた。

 パリ近郊ボビニー(Bobigny)の裁判所は、密輸と生物多様性に対する罪で、両被告にそれぞれ執行猶予付き禁錮10月と罰金7000ユーロ(約85万円)を言い渡した。

 専門家らによると、ヨーロッパウナギは近年、乱獲や水質汚染、ダム建設による回遊ルートの阻害などにより、数が激減している。フランス国内でのウナギの稚魚の価格は、1キロ当たり250ユーロ(約3万円)前後。

 ヨーロッパウナギは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、ワシントン条約)」で2009年から保護されている。CITESは当時、欧州で捕獲されるウナギの約半数が中国、日本、韓国での養殖のために輸出されており、その量は年間約2億匹に上ると推定していた。(c)AFP