【11月1日 AFP】中国東部の浙江(Zhejiang)省は、たとえ宿題が終わっていなくても子どもたちを午後10時には就寝させるよう促す新規則の導入を検討している。これがきっかけで、同国の教育制度をめぐり激しい議論が巻き起こっている。

 浙江省は10月28日、児童・生徒らについて、宿題が全部終わっていなくても保護者の同意の下で妥当な時刻に就寝させるよう提案する指針の草案を発表。具体的には、小学生は午後9時、中学生は同10時という就寝時刻を提示している。

 同省教育庁のウェブサイトに掲載された33項目の行動計画には、保護者らに対し「他者との競争を控える」ようにとの助言や、週末や長期休暇中の追加勉強を禁止する内容が盛り込まれている。

 中国の児童・生徒には、膨大な量の宿題が課されることで知られる。その上、子どもたちには両親が決めた多くの習い事もあり、夜遅くまで起きていることも少なくない。浙江省以外の省も、子どもの負担を軽減するために同様のルール作りを検討している。

 しかし浙江省の今回の提案には反発が広がった。一部の保護者は、宿題を減らせば、子どもたちが競争の激しい大学受験に備える際に不利になるのではないかと懸念している。

 中国の教育制度は、大学進学の唯一の道となり、批判も多い「高考(Gaokao)」と呼ばれる試験が中核に据えられている。

 この論争には、中国共産党機関紙の人民日報(People's Daily)も加わった。同紙は「子どもが過度の宿題を抱えることに肯定的な親はほぼいないということは疑いようもない」としながらも、「わが国の高考、また競争の激しい職場においては、優れた学業成績が必要だ」という見方を示した。(c)AFP/Helen Roxburgh and Qian Ye