動画ストリーミングサービスは環境に悪影響 専門家ら警鐘
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【10月31日 AFP】見たいときに好きな映像コンテンツを視聴できるビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスのおかげで今や、指でタッチするだけで数えきれないほどの作品を楽しむことができる。
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だが、ストリーミングサービスの手軽さには環境の大きな犠牲が伴うと、専門家らは指摘する。
仏シンクタンク、シフト・プロジェクト(Shift Project)によると、30分番組の視聴は二酸化炭素(CO2)換算で1.6キロの排出を引き起こすという。これは自動車で6.28キロ走行するのに相当するCO2排出量だ。
2018年にインターネットの動画ストリーミングによって発生したCO2排出量は、スペインの国内排出量に匹敵する。
インターネットトラフィックの大部分(34%)はネットフリックス(Netflix)、アマゾンプライム(Amazon Prime)、Hulu(フールー)などの動画配信サービスのストリーミング再生に関連している一方、これに次ぐ割合を占める部門はオンラインポルノだ。
IT業界の消費エネルギーによる排出量(エネルギーフットプリント)を監視している国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)のゲーリー・クック(Gary Cook)氏は、「非常に大きなファイルサイズで提供されるデジタル動画は、新世代の動画の解像度が高くなるたびに、ファイルサイズもさらに大きくなっている」と話す。
クック氏は、AFPの取材に「データ量の増加は、この動画をいつでもユーザーの端末に即座にストリーミング配信できるシステムを維持するのに必要なエネルギーの増加に等しい」と語った。ストリーミングサービスに必要なエネルギーの大半は、データセンターで消費されるという。
米通信機器大手シスコシステムズ(Cisco Systems)によると、インターネット経由の動画視聴は2017~22年に4倍に増加し、22年にはネット上の全トラフィックの80%を占める見通しだという。
ネットフリックスは世界的に拡大を続けており、米ウォルト・ディズニー(Walt Disney)と米アップル(Apple)も今年、独自のストリーミングサービスを立ち上げている。
また、全米民生技術協会(CTA)によると、動画の視聴に使用される機材もますます大型化しており、平均の画面サイズが1997年の22インチから2021年までに50インチへと急上昇することが予想される。
米環境保護団体「天然資源保護協議会(NRDC)」が発表した報告書によると、4K解像度を持つディスプレーは通常の高解像度ディスプレーより約30%多くのエネルギーを消費するという。2018年には8Kディスプレーが初登場した。
それが招く結果は「あらゆるレベルでの資源の無駄遣いだ」と、フランス国立情報学自動制御研究所(French Institute for Research in Computer Science and Automation)のローラン・ルフェーブル(Laurent Lefevre)氏は述べている。
視聴者らは自動再生機能を無効にし、解像度のより低い形式でWi-Fi経由でストリーミング再生することを、専門家らは提案している。
仏シンクタンクのシフト・プロジェクトは、インターネットの利用を監視する閲覧ソフト(ブラウザー)の拡張機能を提供している。この拡張機能を使うと、使用された電力量とその発電によって発生するCO2や、その排出量に相当する自動車の走行距離などが表示される。(c)AFP/Liz DONOVAN