【10月31日 AFP】イラクの人権委員会は30日、1週間前に再燃したデモによる死者が少なくとも100人に達し、負傷者は5500人を超えたとAFPに明かした。犠牲者の大半は民間人で、催涙ガスによる窒息や催涙弾での負傷、発砲などが原因だという。

 デモの規模は同日夜になってさらに拡大し、アデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相(77)に対する退陣圧力が強まっている。一方、親イラン派の有力者らは首相支持を表明。政府庁舎が集まる首都バグダッド中心部の制限区域グリーンゾーン(Green Zone)では、米大使館近くの検問所にロケット弾が撃ち込まれ、治安情報筋によるとイラク軍兵士1人が死亡、複数の負傷者が出た。

 一連のデモは今月1日、公共サービスの不備や失業率の高さ、汚職などへの抗議から始まり、アブドルマハディ首相の退陣要求へと発展。いったんは沈静化したものの25日に再燃した。デモ開始から現在までの死者数は合わせて257人、負傷者は1万人を超えている。

 アブドルマハディ氏は昨年、シーア派の指導者ムクタダ・サドル(Moqtada Sadr)師や親イラン派民兵組織の司令官ハディ・アミリ(Hadi al-Ameri)氏らと政治同盟の下で首相に就任した。ただ、既に政府上層部でも求心力を失ったとみえ、サドル師は首相の辞任と早期の総選挙実施を呼び掛けている。

 政府情報筋はAFPに対し、バルハム・サレハ(Barham Saleh)大統領が29日夜、首相退陣をめぐってムハンマド・ハルブシ(Mohammed al-Halbussi)国会議長やアミリ氏と協議したことを明らかにした。アミリ氏はアブドルマハディ氏の退陣に難色を示したとみられ、緊迫した協議は30日も続いた。(c)AFP/Maya Gebeily