【10月31日 AFP】英メディアは30日、イングランド・プレミアリーグが参加する全20クラブに対し、各傘下のアカデミーでプレーする選手のヘディング禁止を検討しているという内容のメールを送ったと報じた。この動きは、サッカーと認知症の因果関係に関する最近の研究結果を受けてのものとされている。

【関連記事】サッカーで脳振とうの新ルール検討、一時的な選手交代を可能に

 前週発表された報告書「サッカーによる一生の健康への影響と認知症のリスク」では、サッカー選手が脳の変性疾患になる割合は、一般の人々より3.5倍も高いという研究結果が示されていた。研究は1900年から76年に生まれた7676人のスコットランド出身選手と、同様のバックグラウンドなどを持つ2万3000人を比較してのものとなっている。

 これを受けてスコットランドサッカー協会(SFA)では、12歳未満の子どもを対象にヘディング禁止を検討することになった。また、2017年3月に運動ニューロン疾患と診断された元選手のレニー・ジョンローズ(Lenny Johnrose)氏は、14歳以下の子どもがヘディングすることを禁止するように呼び掛けた。

 世界で子どものヘディングを禁止している国は、現時点では米国だけとなっている。同国では、10歳以下の子どもは試合や練習でヘディングしてはならないことになっているほか、11歳から13歳の子どもたちは、練習でのヘディングに制限が加えられている。

 英グラスゴー大学(University of Glasgow)のウィリー・スチュワート(Willie Stewart)博士が率いる研究結果を受けて、プレミアリーグの最高経営責任者(CEO)代行を務めているリチャード・マスターズ(Richard Masters)氏は、どの年代の選手のヘディングを禁止すべきか定めるべく、最新の研究結果に注目している。

 イングランドサッカー協会(FA)が独自に集めた医学およびサッカーの専門家グループは、現段階ではどのレベルにおいても、近代サッカーのプレー方法を変更すべき十分な証拠はないとしている。(c)AFP