【10月30日 AFP】オーストラリアの野生動物保護当局は30日、同国東部の沿岸地域で制御不能となっている山火事で、コアラ数百頭が焼け死んだ可能性があると明らかにした。

 山火事は26日、シドニーから北へ約400キロ離れた地域で、落雷によって発生したとみられる。これまでに2000ヘクタール以上が焼き尽くされ、現在も延焼を阻止できていない。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州北部の野生動物救助団体は、火災が発生した地域に生息する「非常に珍しい」コアラの群れ数百頭が犠牲になったのではないかと、強い懸念をあらわにした。

 ポートマッコリー・コアラ病院(Port Macquarie Koala Hospital)のスー・アシュトン(Sue Ashton)院長は「この地域のコアラには、遺伝的に非常に多様性が高いという特殊な重要性がある」と述べ、「比類がないだけに、このコアラの群れを失うことは国家の悲劇だ」と付け加えた。

 長期的な森林伐採や土地開発により、木の上で生活するコアラの生息地は失われ、群れ同士のつながりが絶たれた一方で、同種のコアラが親近交配するケースが増えたため、コアラの遺伝的多様性が失われたという背景がある。

 深刻な干ばつに見舞われているニューサウスウェールズ州では、現在も70件以上の山火事が続いている。(c)AFP