【10月30日 AFP】地球外知的生命体(SETI)の探査プロジェクト「ブレークスルー・リッスン(Breakthrough Listen)」は第70回国際宇宙会議(IAC)で23日、米航空宇宙局(NASA)の太陽系外惑星探査衛星「TESS(テス)」のチームと提携すると発表した。同プロジェクトは2015年にロシアの富豪で投資家のユーリ・ミリネル(Yuri Milner)氏からの資金提供によって設立された。

 この連携は、宇宙人探しが科学的専門分野の一つに昇格したということを意味するのだろうか。AFPは、米カリフォルニア州にあるSETI研究所(SETI Institute)SETI研究部門の名誉会長ジル・ターター(Jill Tarter)氏(75)に話を聞いた。

  ターター氏は遠方の銀河から発せられる信号の探査に生涯をささげており、1997年公開の映画『コンタクト(Contact)』で米女優ジョディ・フォスター(Jodie Foster)さんが演じた役のモデルともなっている。

 ターター氏は「われわれは長年にわたり、疑似科学やUFO(未確認飛行物体)から距離を置くことに多大な時間を費やしてきた」「他分野の科学者らと同じ方法で科学的探究に取り組んでおり、興味深い機器も開発している」とし、これによって「今日では、以前よりもはるかに信ぴょう性が増している」と述べた。

■宇宙の探索

 地球外知的生命体探査の研究は、二つの発見によってSFの領域から脱することができた。その一つは、1995年の太陽系の外にある惑星(系外惑星)の発見で、これは今年のノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)の受賞理由ともなっており、これまでに4000個以上の系外惑星が確認されている。もう一つは、極限状態の温度や圧力の中でも生存可能な生物である極限環境生物の発見だ。

 SETIに関心を抱く天文学者らは、知的生命体の微妙な兆候を探すための全天走査観測で、光学望遠鏡と電波望遠鏡を利用している。

 兆候とは、地球から宇宙空間に絶え間なく放射されているテレビやラジオの電波信号と同様の信号が地球に届くことかもしれないし、遠方の惑星の光特性の中の奇妙な変動かもしれない。この変動は宇宙ステーションのような巨大な軌道上構造物の存在を示している可能性がある。