【10月30日 AFP】ウクライナ政府軍と親ロシア分離独立派は29日、双方が同国東部ルガンスク(Lugansk)州の要衝ゾロテ(Zolote)から撤退を始めたと明らかにした。

 ウクライナ東部の情勢をめぐっては、同国のウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と分離独立派を支援するロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との間で、仏独首脳の仲介による重要な会談が予定されており、撤退はその実施条件となっている。

 撤退の開始は政府軍がフェイスブック(Facebook)上で発表したほか、監視に当たる欧州安保協力機構(OSCE)も確認。ロシア政府高官も今回の動きに満足の意を示している。

 首脳会談の実現には、政府軍・分離独立派の双方がウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州ペトリフスケ(Petrivske)から撤収することも求められている。

 ゼレンスキー大統領は今年5月の就任以降、分離独立派との和平プロセスの再開を模索してきたが、前線からの双方の撤収は交戦を理由に実現していなかった。

 ウクライナでは撤退を含むゼレンスキー氏の和平案に対し、退役軍人や民族主義者を中心に多くの人が強く反発。大統領府周辺ではそうした主張に呼応した国民300人が撤退反対のデモを行い、「降伏反対!」と声を上げた。

 同様の抗議はここ数週間続いており、ペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)前大統領を含む数千人が首都キエフなどでデモを行ってきた。

 さらに、さまざまな民族主義団体が政府軍の撤退を妨げようとゾロテに私兵を派遣。対応を迫られたゼレンスキー氏は先週、自らゾロテを訪れ、和平プロセスの妨害をやめるよう反対派を説得していた。(c)AFP