【10月30日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は29日、今月14日に行われた欧州選手権(UEFA Euro 2020)予選のイングランド戦でブルガリアのファンが人種差別的な発言をしたことを受け、ブルガリアサッカー連合(BFU)に対して1試合の無観客試合処分と、7万5000ユーロ(約900万円)の罰金を言い渡した。

 UEFAの規律委員会は、さらに1試合の無観客試合処分をブルガリアに科したが、こちらは2年間の執行猶予付きとなった。この結果、ブルガリアは来月17日にホームで行われるチェコとの予選最終戦を無観客で戦う。

 また、UEFAは次の二つのホームゲームで「No To Racism(人種差別にNOを)」というスローガンが書かれた横断幕を掲げるようBFUに命じたほか、キックオフ前の「国歌斉唱の際に妨害行為を引き起こした」として、1万ユーロ(約120万円)の罰金を科した。イングランドサッカー協会(FA)に対しても、同様の違反で5000ユーロ(約60万円)の罰金処分が下っている。

 ブルガリアの首都ソフィアにあるヴァシル・レフスキ国立競技場(Vasil Levski National Stadium)で開催されたイングランド戦では、ホームのサポーターが座った場所からモンキーチャント(猿の鳴きまね)やナチス・ドイツ(Nazi)式のような敬礼があったとして、試合は前半に2度にわたって中断となった。

 人種差別行為を受けたイングンドの選手だったが、ピッチを離れず、そのまま試合を終わらせることにした。最終的に試合はイングランドが6-0で勝利している。

 今回の処分を受け、FAは「ソフィアでの恥ずべき光景が二度と繰り返されないことを切に願う」とコメントした。

「選手やサポートチーム、ファンが最も重要であることに変わりはない。彼らがこうした状況に二度と耐える必要がないよう、できる限りのことをしていく」「UEFAがきょう下した決定を受け入れるが、社会における人種差別や差別に関しては、いまだ大きな課題が存在している」 (c)AFP