【10月30日 AFP】女性初の国連難民高等弁務官で、日本の国際協力機構(JICA)の理事長も務めた緒方貞子(Sadako Ogata)さんが22日死去した。92歳。JICAが29日明らかにした。

 緒方さんは1991年から2000年まで難民高等弁務官を務め、難民と国内避難民の支援への取り組みで広く尊敬を集めた。また、任期中、紛争地帯を訪れることを重視した。

 湾岸戦争(Gulf War)後、イラクを逃れたクルド人難民の支援に努めたほか、旧ユーゴスラビア、ルワンダでの難民危機に対応したことでも知られる。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の信頼回復における功績を評価され、ブトロス・ガリ(Boutrous Boutrous-Ghali)元事務総長の後任として名前が挙がることもあった。

 小柄な体格と落ち着いた振る舞いの一方、旧ユーゴスラビア紛争をめぐっては、西側諸国の間で激しい政治対立があったにもかかわらず、人道危機に世界の関心を集めることに成功し、力強い行動を特に高く評価された。

 その後、緒方さんは2003年から2012年までJICAの理事長を務めた。

 自身も難民高等弁務官を務めたアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、緒方さんは「道徳、思いやり、有効性という、難民支援の基準を定めた」と述べた。(c)AFP