【10月30日 AFP】ネパール人登山家ニルマル・プルジャ(Nirmal Purja)氏(36)が29日、世界に14座ある「8000メートル峰」の全てを189日間(6か月と6日)で登頂する世界最速記録を達成した。同氏が自身のソーシャルメディアアカウントへの投稿で明らかにした。これまでの最速記録は8年弱だった。

 同氏はフェイスブック(Facebook)への投稿で、中国のシシャパンマ(Shishapangma)への登頂を報告し、「ミッション達成!」と宣言した。

 8000メートル峰14座の完全制覇は1986年、イタリアの著名登山家ラインホルト・メスナー(Reinhold Messner)氏が世界で初めて達成。翌87年にはポーランド人登山家のイェジ・ククチカ(Jerzy Kukuczka)氏が7年11か月14日で同じ偉業を達成。その後、金昌浩(キム・チャンホ、Kim Chang-ho)氏がこれより1か月速い新記録を達成していた。ただ、金氏はククチカ氏やプルジャ氏とは異なり、14座全てを無酸素で登頂していた。

 英軍のネパール人部隊「グルカ旅団(Brigade of Gurkhas)」や精鋭部隊「特殊舟艇隊(Special Boat Service)」の元隊員であるプルジャ氏は、4月に「プロジェクト・ポッシブル(Project Possible)」と題した挑戦を開始。第1段階として、わずか1か月でアンナプルナ(Annapurna)、ダウラギリ(Dhaulagiri)、カンチェンジュンガ(Kanchenjunga)、エベレスト(Everest)、ローツェ(Lhotse)、マカルー(Makalu)の6座に登頂した。

 その1か月後にはパキスタンで第2段階をスタートし、まず標高8125メートルの難関ナンガパルバット(Nanga Parbat)に登った。その後は、自身の目標に間に合わせるために睡眠不足と闘いながら、ガッシャーブルム1峰(Gasherbrum I)、ガッシャーブルム2峰(Gasherbrum II)、世界第2位のK2を含むパキスタン高峰5座をほぼ駆け足で登っては下りたと同氏は説明している。

 23日後には第2段階で最後の山となるブロードピーク(Broad Peak)に登頂。9月に最終段階を開始し、1週間のうちにチョーオユー(Cho Oyu)とマナスル(Manaslu)を踏破していた。(c)AFP/Paavan MATHEMA