【10月29日 AFP】オーストリアの秋の景色の中に走る一筋の雪の帯。スキー場の早期開業をめぐり、同国の環境保護主義者らから懸念の声が上がっている。

 欧州のアルプス(Alps)山脈では例年、スキーシーズンは11月中旬から始まる。だが、オーストリア西部のキッツビューエル(Kitzbuehel)では、前年の雪を再利用することで、10月中旬から700メートルのゲレンデを開業している。

 10月のスキーは、スキー愛好家や特に地元の若者にとって「見逃せないチャンス」である一方、緑の党のザルツブルク(Salzburg)支部は、「気候問題が切迫した時代において、ただただ異様」だと述べている。

 標高1800メートルに位置するレスターコーゲル(Resterkogel)ゲレンデでは、前シーズンから断熱シートに覆い保存していた雪を使用している。温暖化で見通しが立ちづらくなる中、スキー場を予定通りオープンするため、オーストリアやスイス、フランスのアルプス山脈にある多くのスキー場で、同じ方法が採られている。

 緑の党は、9月の総選挙で躍進。セバスティアン・クルツ(Sebastian Kurz)氏率いる中道右派・国民党と連立を組む可能性もあり、スキー場の早期開業問題を追及できるチャンスはある。

 しかし、変化をもたらすことは難しいかもしれない。スキーはオーストリアの文化に深く根ざしており、業界は9万9000もの雇用を提供している。リフト券の販売数からみると、同国は欧州随一のウインタースポーツ大国だ。(c)AFP/Celine JANKOWIAK