【10月29日 AFP】チリのセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領は28日、10日間にわたる抗議デモを受け、内閣改造を発表した。しかし、発表後もデモ隊と治安部隊が衝突するなど、混乱収束の見通しは立っていない。

 チリで続く社会的・経済的な不平等に対する抗議デモでは、これまでに少なくとも20人が死亡。28日には首都サンティアゴのほか、地元メディアによるとバルパライソ(Valparaiso)やコンセプシオン(Concepcion)でも暴動が発生した。

 デモ参加者らはピニェラ大統領の辞任を求めており、低い賃金・年金や高額な医療・教育、貧富の差の拡大への不満を背景に、市民による抗議活動としては過去数十年で最大のものとなっている。

 ピニェラ氏は批判が強まっていたアンドレス・チャドウィク(Andres Chadwick)内務相を含め、閣僚の3分の1を交代させた。

 しかし、サンティアゴ市内の大統領府付近ではデモ隊と警察が衝突。当初、多くの人が平和的にデモを行っていたが、デモは次第に暴動に変わっていった。複数の店舗が略奪に遭い、ショッピングセンター・店舗・ホテルが入った建物では火災が発生するなど、今月18日に始まった抗議デモの初期に発生した暴動を想起させるものとなった。

 また世界最大の銅鉱山エスコンディーダ(Escondida)では、労組が29日から24時間のストライキを開始すると発表した。

 ピニェラ氏は抗議デモ発生の翌日に発令された夜間外出禁止令を26日に、1週間続いた非常事態宣言も27日から28日にかけて解除している。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH