【10月29日 Xinhua News】中国重慶市(Chongqing)で25~27日、中国語で書かれた優れたSF小説に贈られる「星雲賞」の第10回授賞式を含むスペシャルイベントが開催された。第18代日本SF作家クラブ会長を務めたSF作家、藤井太洋(Taiyo Fujii)氏はイベントの席上で、劉慈欣(Liu Cixin)氏の作品「三体(The Three-Body Problem)」が今年日本で発売され、日本に2012年以来最大のSFブームを巻き起こしたと紹介した。

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 藤井氏は「三体」は今年の春に日本で翻訳、7月に発売されるとまたたく間に大ブームを巻き起こし、SFファンのみならず日本のさまざまな層から賞賛を受けたと紹介した。

 藤井氏は「有名なアニメ映画監督の新海誠氏も本書を絶賛している。日本でこれほど大きなSFブームが起こったのは2012年以来だ」と語った。

「三体」は日本における小説出版の慣例を覆した。藤井氏は「三体」の日本での出版には独特の現象が見られたと指摘。総売上に占める電子書籍の割合が30%となり、自身の作品が持っていた25%の記録を上回って過去最高を更新したと説明した。

 藤井氏は「この現象は、SFファンや文学ファンだけでなく、電子書籍の主なユーザーである日本の若者が中国のSF作品を読み始めたことを意味している」と述べた。

 また日本語版の「三体」は英語版よりも魅力的だとも指摘した。藤井氏は「私も英語版の『三体』を読んだが、一部のディテールが失われている。日本語版はより原文に忠実な描写がされている」との認識を示した。

 さらに藤井氏は、日本の読者は「三体Ⅱ・黒暗森林」の日本語版の出版を心待ちにしていると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News