【10月28日 Xinhua News】日本に初めて饅頭(まんじゅう)の製法を伝えた僧・林浄因(Lin Jingyin)の末裔(まつえい)で、中国にルーツをもつ日本塩瀬総本家の川島英子会長一行がこのほど、中国浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)西湖の畔の孤山で先祖の霊を祭り、日本の飲食文化に貢献した先人を偲んだ。

 この美食にまつわる物語は、670年前に始まった。北宋の詩人・林逋(Lin Bu)の7代目の末裔にあたる林浄因が1349年に日本に渡り、同地の僧侶たちの食事を改善しようと、奈良で小豆のあんを入れた饅頭を制作、「日本第一番所」を創設したことが、日本の饅頭の始まりだとされている。

 奈良の漢国神社の境内には、林浄因を祭るために建てられた日本で唯一の「饅頭の神社」として知られる「林神社」が、今もなお残っている。

 川島氏は「饅頭は中国では非常にありふれた主食だが、日本に伝わってから、われわれが改良を加え、日本人に愛されるお菓子に発展させた」と語る。

 また、川島氏は日本の飲食文化に貢献した先人の偉業を記念するため、中国側との協議を経て、1986年に杭州市西湖の畔にある孤山に林浄因の記念碑を建設。奈良の「林神社」で始まった饅頭まつりを林浄因の生誕地である西湖の地でも行うようになっている。

「私の西湖訪問は、今回で33回目になる」と語る95歳の川島氏にとって、先祖を祭るために毎年中国を訪れることは、中国の菓子業界や故郷の人々と交流する機会でもあるのだ。(c)Xinhua News/AFPBB News