■「最後に残った1人」

 トランプ氏はさらに「優秀な戦闘員らの大部隊がヘリコプターから走り出し」、扉の仕掛け爆弾を避けるために「建物の横を爆破して穴を開けた」と説明。「見ていて本当に素晴らしいものだった」「われわれは映像をはっきりと見届けた」と語った。

 また「部隊は射撃による猛攻で迎えられた」とも明かし、米軍の反撃でバグダディ容疑者の支持者らが「大量に」死亡したが、米兵の死者はなかったとも述べた。

 司令官らは順次、進行状況を中継報告した。11人の子どもたちが連れ出され、捕虜たちが連れ出された。バグダディ容疑者の妻たちが死亡した……。

 そして、誰もが待っていた報告が届いた。トランプ氏はその報告を振り返って語った。「建物内に残っているのは1人だけです。彼は逃げようとしてトンネル内にいますが、このトンネルは行き止まりです」

 そこにいたのは、バグダディ容疑者だった。

 米軍はこの建物にトンネルがあり、バグダディ容疑者が自爆ベストを着ている可能性があることを把握していた。米軍はロボットも用意していたが、使用されることはなかった。

「わが軍は、ものすごいスピードで迫っていた」「彼らは(容疑者を)追いかけていた」とトランプ氏は説明した。

 バグダディ容疑者は、自らの子ども3人を連れてトンネルに入った。しかし、子どもたちの存在で運命を避けられるわけではなかった。米軍が軍用犬をトンネル内に送ると、ISの黒幕バグダディ氏は「自爆した」。

「われわれの犬が追い詰め、彼はトンネルの終わりに突き当たった。そして自爆ベストを爆発させて、自分自身と3人の子どもたちを殺した」とトランプ氏は述べた。

「彼は英雄として死を遂げたのではなく、臆病者のように泣き叫びながら、3人の子どもたちを巻き添えにして死んでいった。死あるのみだった。彼は、トンネルが行き止まりなのを分かっていた」

 米兵らは散乱したバグダディ容疑者の遺体からDNA鑑定のためのサンプルを採取し、持ち出した。米部隊は建物内に約2時間いたという。

「わが軍の側は誰も死んでいない」とトランプ氏は述べたが、実際には負傷した一員がいた。「われわれの犬は負傷した」 (c)AFP/Sebastian Smith