【10月27日 AFP】米国防当局者は26日、石油資源が豊富なシリア東部への米軍派遣に乗り出したと明らかにした。現地のAFP記者によると、米国旗をかかげる軍の車列がイラクからシリアに入った。

 この国防当局者はAFPに対し、米政府はシリア東部デリゾール(Deir Ezzor)県でシリア民主軍(SDF)のクルド人部隊と協力して、派遣部隊が陣地の強化に着手したと語った。狙いについては、かつてのイスラム過激派支配地域にある油田がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」などの勢力の手に落ちるのを防ぐためとしたが、それ以上の詳細は明かさなかった。

 現地のAFP記者によると、13台前後の軍用車両がイラクからシリアに入り、ハサケ(Hassakeh)県に向かった。車列はシリア政権が設置した検問所を通り、米国と同盟関係にあるクルド人の支配地域の事実上の首都カミシリ(Qamishli)を通過したという。

 デリゾール県には、すでに米兵約200人が駐留している。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は今月、シリア北部の対トルコ国境地帯からの米軍撤退を命令。かねて懸念されていたトルコによるシリア領内での軍事作戦の下地をつくった。

 トランプ氏は先週、それまでの姿勢を修正し、油田防衛のために「小規模な」部隊を残留させると表明していた。

 これに対しロシア国防省は26日、「現在米政府が現在行っているシリア東部の油田の奪取・掌握は、国際的な強盗行為にほかならない」と米国を非難した。(c)AFP