【10月26日 AFP】(更新、写真追加)英南東部エセックス(Essex)州でトラックから39人の遺体が見つかった事件で、最大でベトナム人20人が犠牲になったと危惧されていることが26日、明らかになった。

 英警察は当初、男性31人、女性8人の犠牲者は全員中国人とみられるとしていたが、25日になって、身元確認により「状況が変化する可能性」があると述べていた。事件をめぐっては、現在までに4人が拘束されている。

 英国に拠点を置くコミュニティーグループ「ベトホーム(VietHome)」は、「行方が分からなくなったと通報されている、15歳~45歳のベトナム出身者20人近くの写真」を受け取ったと説明。

 複数のベトナム人家族が、犠牲者の中に親族が含まれているのではないかと危惧している。

 ベトナムは、より良い生活を目指して英国へ密入国する人々の主要な出身国の一つで、犠牲者らは中国の偽造パスポートを所持していた可能性がある。

 26日にAFPの取材に応じたベトナム人男性、グエン・ディン・ジャオ(Nguyen Dinh Gia)さんは、昨年からフランスに不法滞在していた息子のグエン・ディン・ルオン(Nguyen Dinh Luong)さん(20)から2週間前、これから英国に行く、旅費として1万1000ポンド(約150万円)を支払うつもりだとの連絡があったと話す。英国のネイルサロンで仕事に就こうとしていたとみられている。

 しかし、数日前にあるベトナム人男性から電話があり、「お悔やみ申し上げます。予期せぬことが起きました」と言われたという。ジャオさんは「その言葉を聞いて倒れ込んだ」「息子は、事件が起きたトラックの中にいたようだ。全員が亡くなっていたあのトラックに」と話した。

 AFPの取材に答えた別のベトナム人家族によると、26歳の女性、ファム・ティ・トラ・ミーさん(Pham Thi Tra My)さんも犠牲者の中に含まれている恐れがある。家族は今月23日に痛ましいテキストメッセージを受け取っていた。

 きょうだいが確認したこのメッセージには、「お母さんごめんなさい。国外に向かっていたけど、だめみたい。お母さん、本当に愛してる! 死にそう、息ができない」と書かれていたという。(c)AFP