【10月25日 AFP】フランス・パリのルーブル美術館（Louvre Museum）で24日、イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ（Leonardo da Vinci）の没後500年を記念する特別展が開幕した。ダビンチの展示会としては過去最大規模となる。会期は2020年2月24日まで。

　英エリザベス女王（Queen Elizabeth II）から借り受けた英王室所有の美術コレクション「ロイヤル・コレクション（Royal Collection）」の絵画の他、バチカン（ローマ法王庁）や大英博物館（British Museum）などから借り入れた作品162点が展示されている。この中には有名な解剖図「ウィトルウィウス的人体図（Vitruvian Man）」が含まれているが、これをめぐってはイタリアとフランスの間で対立にまで発展し、最終的にイタリア政府が貸し出しに応じた経緯がある。

　ダビンチの傑出した才能は絵画、建築、解剖学、機械学、音楽など多岐に及んでいた。だが、現存するダビンチの絵画は20点に満たず、今回はこのうち10点が目玉として展示されている。

　共同キュレーターを務めるルイ・フランク（Louis Frank）氏は「ダビンチは絵画を科学だと考えていた。絵画とは科学の女王で、すべての科学を内包しており、世界を再現できる神聖な科学とさえ見なしていた」と語った。共同キュレーターのバンサン・ドリュバン（Vincent Delieuvin）氏は、「ダビンチの絵画がこれほどまでに少ないのは、無関心の表れではない。これによって完璧な絵画の創作が可能になった」と付け加えた。

　ダビンチの傑作「モナリザ（Mona Lisa）」のほほ笑みは、人間の感情を芸術で表現したいというダビンチの熱意を集約している。「ダビンチにとってほほ笑みは、最も繊細な表現だった。はかない、人間性のまさしく本質だと考えていた」とドリュバン氏は説明する。「ほほ笑みほど、人間の表情の不思議な力を伝えるものはない」