【10月25日 AFP】シンガポールの海鮮レストランがカニをつり上げて捕獲するクレーンゲーム機を店先に置いたところ、カニを虐待しているとネット上で激しい批判が巻き起こっため、店は24日、このサービスの中止に追い込まれた。

 批判を浴びたのは、海鮮レストラン「蟹(カニ)の家(House of Seafood)」の店先に置かれた、スリランカ産高級カニを生きたまま捕獲するクレーンゲーム。ピンク色の機体に笑顔の赤いカニのイラストが描かれ、「ぼくを捕まえて」と書かれている。1プレイ5シンガポール・ドル(約400円)で、捕まえたカニは持ち帰ることもできるが、「蟹の家」で無料で料理してもらい、その場で食べることもできる。

 しかし、このサービスの宣伝動画をネットに上げたところ、残酷だと非難が殺到。あるフェイスブック(Facebook)ユーザーは「これはやり過ぎだ。カニたちの余生を、さらに苦しいものにする必要があるのか。不愉快極まりない」と投稿。

 動物虐待防止協会(Society for the Prevention of Cruelty to Animals)も、このゲーム機を「カニたちに不必要な害を与えるもの」と断じ、「人々が動物を単にもてあそぶ対象とみるようになる」「カニは生き物だ。おもちゃではない」と批判した。

 シンガポール政府傘下の動物保護団体「アニマル・アンド・ベテリナリー・サービス(Animal and Veterinary Service)」は、この問題は承知しており現在、調査中だと述べた。

 一方、「蟹の家」を経営するフランシス・ウン(Francis Ng)氏はAFPの取材に、店の宣伝として今月からカニ捕獲ゲーム機を設置していたが、批判を受けて稼働を中止したと述べ、非難が殺到したことに驚いていると語った。

 ウン氏は店のフェイスブックに謝罪文を投稿したが、ウン氏によれば、カニたちはプラスチックシートで覆われており、つり上げられたカニが落ちても傷つかないよう、ゲーム機の内部にはクッション素材が敷かれているという。

 ウン氏は中国で経営するレストラン2店舗でも、宣伝活動で同様の機械を設置したが、こちらは好評だったという。だが、シンガポール当局からの命令があれば、カニつりゲーム機は撤去するつもりだと語った。(c)AFP