【10月25日 AFP】南米アマゾンに生息するカワイルカが、憂慮すべき水準の水銀に汚染されていることが明らかになった。環境保護団体によると、金の違法採掘が主な原因だという。

 アマゾンカワイルカは大型淡水種で、瓶のような長い口吻(こうふん)を持つことで知られている。今回の調査では、ブラジル、ボリビア、コロンビア、ペルーにわたる主要流域で、アマゾンカワイルカ46頭の汚染レベルを測定した。

 調査を実施した環境保護団体の一つ、世界自然保護基金(WWF)ブラジル支部のマルセロ・オリベイラ(Marcelo Oliveira)氏は、測定したすべてのカワイルカからある程度の水銀汚染が検出され、そのうちの半数以上で高レベルの汚染が認められたと説明した。

 WWFによると、特にコロンビアとベネズエラを流れるオリノコ川(Orinoco River)で金の違法採掘に水銀が用いられており、それが現実の脅威となっているという。

 だが、問題は金の採掘だけではないとオリベイラ氏は指摘する。「アマゾンでは水銀が自然界に存在している。森林伐採と森林火災によりこの水銀が水域を通じて拡散し、イルカや魚の食物連鎖に入り込んでいる」

 カワイルカが高レベルの水銀により汚染されているということは、アマゾン地域に暮らす2000万人近くが汚染された魚を食べることになるのを意味しており、深刻な脅威をもたらす。

「水銀は食物連鎖中に最長100年残存する可能性があり、重大な問題だ」と、オリベイラ氏は指摘した。(c)AFP