【10月25日 AFP】シリア北東部のクルド人部隊は24日、トルコとロシアの間で先に結ばれた合意に従い、対トルコの広大な国境の複数の拠点から撤収を開始した。合意により、クルド人が自治実現を夢見た地域はシリア、トルコ、ロシアの3か国の影響下に置かれることになっている。

 一方、クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」のマズルム・アブディ(Mazloum Abdi)司令官は24日夜、記者団に対しシリア北部に国際部隊を派遣し安全地帯を設けるとのドイツの提案に支持を表明した。この案は詳細は明らかになっていないものの、北大西洋条約機構(NATO)理事会で協議されるとみられている。

 ロシア軍部隊は、米軍撤退により生じた空間の一部を埋め、情勢が緊迫している国境沿いでの巡視活動をすでに開始。米軍撤退によりシリア国土の3分の1相当の地域はロシアが支援するバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に事実上返還された。

 現地のAFP特派員によると、国旗を掲げ巡視活動を行うロシア軍部隊はクルド系治安部隊を伴い、カミシリ(Qamishli)から対トルコ国境沿いを西に向かった。

 英国に拠点を置くシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)は、SDFが24日、440キロに及ぶ国境東端の複数の地域から撤収したと発表した。それでも同監視団のラミ・アブドルラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は、SDFの主要組織であるYPG(人民防衛部隊)は引き続き、国境沿いの多くの地点にとどまっていると述べている。(c)AFP/Delil Souleiman