【10月24日 AFP】スペインで24日、長期独裁を敷いたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統の遺体が壮麗な国の慰霊施設で掘り起こされた。防腐処理が施された遺体は、より質素な墓地に移される。同国では、数十年にわたったフランコの独裁政権をめぐって今でもあつれきが存在する。

 長く待たれてきた遺体の掘り起こし作業は、同日午前11時(日本時間午後6時)に始まった。政府の発表によると、重さ約1.5トンとされる墓石を取り除いた後、朽ちかかったひつぎが掘り起こされたという。

 作業開始から約2時間後、総統の遺体を納めたひつぎは壮大な慰霊施設「戦没者の谷(Valley of the Fallen)」の聖堂から運び出された。

 ひつぎは遺族8人によって霊きゅう車に運び込まれ、車は数百メートル先の広場まで走行。さらに、待機していた空軍のヘリコプターにひつぎが移された。ひつぎを載せたヘリコプターは、首都マドリードのすぐ北にある墓地へ向かった。

 約50キロ離れたエルパルド(El Pard)へと運ばれたひつぎは、ミンゴルビオ(Mingorrubio)墓地にある総統の妻の墓のそばに埋葬される。

 ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相はフランコ総統について、総統率いる国家主義者らの軍部隊が勝利した1936~39年の流血の内戦を経て強権支配を敷いた人物であって、「賛美し続ける」べきではないという見方を示し、昨年6月の首相就任以来、遺体の移動を優先事項に掲げていた。(c)AFP