【10月25日 AFP】香港区議会(地方議会)選挙への立候補を表明したスタンリー・ホー(Stanley Ho)さん(35)は、ある日いきなり飛び掛かってきた男たちに金属棒で殴打され、両手を骨折した。反政府デモが5か月にわたって続く香港では、民主派として名の通った人々を標的にした襲撃事件がこのところ相次ぎ、「白色テロ(White Terror)」だと非難されている。

 8月末以降、身元不明の襲撃者の被害に遭った民主派の著名人は、デモの呼び掛け人や野党議員、学生リーダーや区議会選立候補者ら、既に8人に上る。香港の犯罪組織「三合会(Triad)」が中国政府のために集結しているのではないかとの懸念が渦巻いている。

 労働組合員のホーさんは香港市中心部から離れた西貢(Sai Kung)区で9月末、3人以上の集団に襲撃された。親中派の地盤となっている同地区で、区議会選への立候補を表明した後のことだ。狙われた理由は、区議会選と民主派デモ絡みではないかという。

「一部の権力者たちが、犯罪者と手を組んで『白色テロ』を起こしている。恐怖で選挙への立候補を思いとどまらせ、有権者に投票先を考え直させるためだ」と、まだ片腕にギプスをはめたままのホーさんはAFPに語った。

 民主派の抗議デモが激化し、政治的解決の糸口が見えない中、香港では民主派と親中派の分裂が拡大。双方が自警団を組織し、暴力行為が増加している。

 ここ数週間は、民主派デモの支持者らがデモ反対の声を上げた人々を暴行する事例が相次いでいるが、その多くはデモの最中に人々の怒りが爆発して起きる突発的な衝突だ。一方、民主派に対する襲撃事件は、明らかに狙いを定めて行われている。