【10月24日 AFP】米政府のジェームズ・ジェフリー(James Jeffrey)シリア担当特別代表は23日、米下院外交委員会(House Committee on Foreign Affairs)の公聴会で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の構成員100人以上がトルコのシリア進攻による混乱に乗じて拘束を逃れ、行方をくらましたと証言した。

 シリアのクルド人勢力が拘束していたIS構成員について問われ、ジェフリー氏は「われわれの見解では、人数は今や100人を超えた。彼らが今どこにいるのかは不明だ」と答えた。

 クルド人民兵組織が主体の「シリア民主軍(SDF)」は、拘束したIS構成員の警備に当たる人員を対トルコ前線に送る必要に迫られていると警鐘を鳴らしていた。ただ、ジェフリー氏によればSDFは、今も複数のIS構成員を拘束・警備しているという。

 これに先立ちドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、ツイッター(Twitter)に「クルド人は無事で、われわれ(米国)と非常にうまく連携してきた。拘束下のISIS(ISの別称)構成員は、厳重に警備されている」と投稿していた。ジェフリー氏の発言は、トランプ氏の主張と相いれないように見える。

 ジェフリー氏はまた、トルコとシリアの親トルコ勢力に戦争犯罪行為があったとも指摘し、「戦争犯罪とみなされる事例をこれまでに複数確認した」と述べた。具体的な事例は挙げなかったが、米政府は親トルコ派の部隊がクルド人女性政治家ハービン・ハラフ(Hevrin Khalaf)氏(35)を車から引きずり出して殺害し、その様子を収めたとする動画を公開したことに戦慄(せんりつ)を表明している。

 さらにジェフリー氏は、トルコが国際法で禁止されている白リン弾を使用したとのクルド側の主張について、米国が調査する方針も明らかにした。一方、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領がクルド人の民族浄化を行っているとする一部の米議員の指摘については、否定した。(c)AFP