【10月24日 AFP】イラン柔道連盟(IRIJF)は23日、無期限の資格停止処分を科されたことに関して、「虚偽の主張」に基づく裁定であると猛反発した。8月に開催された世界柔道選手権(World Judo Championships 2019)で、IRIJFは母国選手にイスラエルの選手との対戦を許可しなかった疑惑が浮上し、国際柔道連盟(IJF)から先月暫定的な資格停止処分を宣告されていた。

 世界柔道の男子81キロ級で連覇を目指していたイランのサイード・モラエイ(Saeid Mollaei)は、イスラエルの選手と決勝で対戦するリスクを避けるために試合を放棄するよう指示されたと訴えた。同選手は準決勝に出場して敗れ、3位決定戦でも黒星に終わった後、IRIJFのトップと国内オリンピック委員会から大会を棄権するように命令されたと明かした。

 国営イラン通信(IRNA)によると、IRIJFのアラシュ・ミレスマイリ(Arash Miresmaeili)会長は、今回の処分について「残酷かつ露骨な裏切り」と批判し、「一人のアスリートによる虚偽の主張を基に、国際連盟がイランの柔道界にこのような措置を講じるべきではない」と述べたという。また、この裁定はあらゆる世代のイラン選手が海外に派遣されるのを妨げるものになると強調したという。

 イランのアスリートは通常、イスラエルの選手との対戦を避けるために試合を放棄するか単純に大会への参加を辞退しており、そうすることによってイスラエルを国として認めていない母国の政府高官から称賛を受けている。

 その最も顕著な例は通算2度の世界柔道制覇を誇るミレスマイリ会長自身で、2004年のアテネ五輪でイスラエルの選手との対戦が決まった際には、重量オーバーで試合に現れて失格となった。これで当時のモハマド・ハタミ(Mohammad Khatami)大統領をはじめ超保守派メディアから絶賛され、母国柔道連盟のトップ就任への道が開かれた。(c)AFP