【10月23日 AFP】ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)で4強入りを果たしたイングランドを率いるエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)ヘッドコーチ(HC)が、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)とリオネル・メッシ(Lionel Messi)というサッカー界のスーパースターを引き合いに出しながら、ラグビー選手の謙虚な姿勢を誇った。

 ジョーンズHCは、「お互いを尊重し合う」文化をラグビーの特徴として挙げ、「この大会を見るだけでも、その実例がある。他のスポーツでは起こらないことが起こっている」と話した。

「カナダの選手が(台風19号<アジア名:ハギビス、Hagibis>の影響でナミビアとの試合が中止になった後)片づけを手伝ったのは知っているだろう」「バルセロナ(FC Barcelona)やレアル・マドリード(Real Madrid)が台風の被害に遭ったとして、ロナウドやメッシが同じことをするところを想像できるだろうか」

 さらにジョーンズHCは、準々決勝で対戦するニュージーランドのスティーブ・ハンセン(Steve Hansen)HCの手腕も絶賛している。

 イングランドは26日、横浜国際総合競技場(International Stadium Yokohama)でニュージーランドとの大一番に臨む。試合前の「心理戦」を得意とするジョーンズHCだが、この大会ではいつもの鋭い舌鋒は影を潜めていて、この日もハンセンHCの経歴を高く評価する言葉があふれた。

 二人は現代ラグビー屈指の実績を誇る名将で、ジョーンズHCは2003年のW杯で母国オーストラリアを決勝に導くと、日本を率いた前回大会では南アフリカ相手に金星を飾るまでにチームを鍛え、その後はイングランドを復活させた。一方のハンセンHCも、オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)を大会3連覇と通算4回目のW杯制覇に導くことを目指している。

 ハンセンHCについて、ジョーンズHCは「まず、彼は気持ちの良い男だ」「それが一番。そして次に、素晴らしい経歴を持っている」「指導者として、私と対戦し始めた頃のスーパーラグビー(Super Rugby)のクルセイダーズ(Crusaders)でも、その後のウェールズやニュージーランドでも、あれ以上の結果は望めない」と話している。

 一方のハンセンHCも、母国開催の前回W杯で屈辱的なプールステージ敗退に終わったイングランドを生まれ変わらせ、4年間で優勝候補の一角に押し上げたジョーンズHCを同じようにたたえている。

「エディーはイングランドで素晴らしい仕事をしているし、彼らの武器は鋭さを増している」「エディーは(2007年大会で)南アフリカでW杯制覇を経験している。オーストラリアの監督としては、(2003年大会で)イングランドに敗れたのは残念だっただろうが、それでも決勝へ勝ち進んだのは成功だ」

 ハンセンHCとしては、試合前の指揮官同士の舌戦は、深刻にとらえるようなものではないようだ。

「われわれのやっているのはあくまでラグビーの試合で、生きるか死ぬかの戦いではない。兄弟姉妹と遊びで対決するようなものだよ。重要な勝負だが、命が懸かっているわけではない」 (c)AFP