【10月23日 AFP】トルコ国防省は23日、シリア北部のクルド人勢力が対トルコ国境地帯からの撤収を「完了した」との米国の情報を受けて、クルド人勢力への攻撃を再開する「必要はない」と発表した。

 米国の仲介による停戦合意は、安全地帯として提案された地域から120時間(5日)以内にクルド人勢力が撤退することを規定。グリニッジ標準時の22日午後7時(日本時間23日午前4時)を期限としていた。

 トルコは9日にシリアでの軍事作戦を開始したが、マイク・ペンス(Mike Pence)米副大統領との17日の合意に従い、まず国境沿いの長さ120キロの範囲からクルド人勢力が撤退することを条件に、作戦を「停止」することを受け入れていた。

 しかし、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、撤退できなければクルド人勢力の「頭をつぶす」と言明。トルコ側は攻撃再開を繰り返し警告してきた。

 トルコ国防省は「120時間の終了に際し、米国からPKK(クルド労働者党)およびYPG(人民防衛部隊)の撤収が完了したとの発表があった」と表明した。

 エルドアン大統領は国防省の発表に先立ち、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談。シリアのクルド人戦闘員を国境地帯から退けることで一致し、これを「歴史的」合意と称賛した。

 トルコは9日にシリア領内で「平和の泉作戦(Operation Peace Spring)」を開始。同国北部の町タルアブヤド(Tal Abyad)とラスアルアイン(Ras al-Ain)の間の長さ約120キロ、幅32キロに及ぶ「安全地帯」を掌握している。

 ロシアとの合意は同地帯を維持する内容で、トルコ政府はシリア領内に重要な拠点を得ることになる。(c)AFP